海外の人から見た日本人の特徴のひとつは
「コンパクト」にすることなんだそうです。
もちろん、ただコンパクトにするのではなくて、
「細工を施した上で繊細に縮めることにある」と
歴史学者で土木工学者の竹村公太郎さんは話されてます。
大陸から入ってきた丸い団扇をいつの間にか扇子に縮めてしまったり、
西洋から入ってきた長い傘を折りたたみの傘にしたり…。
世界最小のバイクも、車もそうでした。
また、ステレオをウォークマンに、大型のコンピューターをラップトップに、
大自然を庭の中に縮め込んだ日本庭園、大きな木を縮めた盆栽、
四畳半の茶室、詩を短く削って俳句など…挙げだしたらもうきりがないですね。
物を縮める姿勢こそが世界の人々とまったく異なる性格なのだと
李御寧先生も本の中で主張されてます。
「なぜ、日本人は縮めるのでしょうか?」
広重の東海道五十三次「日本橋・朝之景」では、
朝早い日本橋を渡る大名行列が描かれています。
大名行列の先頭には、大きな荷物を担ぐ2人の足軽。
足軽は下を向き、担ぐ荷物はいかにも重そう。
殿様の着替えや国許への土産や書類が詰まっているんでしょうね。
遠い故郷に向って、ただひたすら歩いています。
この大名行列に荷物を運ぶ牛や馬はいません。
荷物は全て足軽たちが背負っていました。
大名行列だけではなく広重は江戸の増上寺の通りを歩く人々の旅姿も描いています。
僧侶も町民も女性も自分の物は自分で担いでいく。
彼らは朝早く起き、日が暮れるまで荷物を担いで歩き続けたのです。
日本列島は、いくつもの海峡、大小の山々、
そして無数の河川によって分断されていますから、その頃の人々の旅とは、歩くことでした。
そのためこの地形が、牛馬の利用を許さなかったのです。
中国を始め大陸の人は荷物を車に乗せ、馬や牛、ラクダに引かせて大陸を疾走していました。
日本人だけが、荷物を背負い歩き続けていました。
歩く人々の価値観、荷物を背負って歩き続ける人たちにだけ特有のある大切な価値観が
生まれていったのです。それは…
「いかに荷物を小さく、軽くするか」でした。
余分なものを持たず、どうしても必要なものだけを少しでも小さく軽く、と考えていきました。
馬や牛に荷物を任せてしまう大陸の人々には、物を小さくしようというような考えは湧きません。
逆に荷物が大きく、重い方がその人のステータスを示していましたから。
日本列島の起伏の厳しい地形を、自分で荷物を背負い、
自分の足で長時間歩き続ける人々のみが、
物を小さく軽くしようという気持ちになるのではないでしょうか?
それが長旅で自分の命を助けてくれるのだから。
このように日本人にとって、物を縮め、小さくし、軽くすることは
何事にも代えがたい価値となっていきました。
そこにまた、日本人の美意識、道徳までが重なっていきます。
この民族が共有できる思考はその地形と気象に適応して生きていくことから生まれました。
それを「技術」といいます。
この縮める技術こそが、エネルギーを最小の消費量にするのです。
「これからの人類が持つべき羅針盤は、細やかなものを愛する日本文明となる。
そして、日本人が文明を創ってきた自分たち自身に今、確かな視線を向けることである。」
このように韓国人である著者が日本について深く論じてます。
生まれながらに備わった、日本特有の歴史と繊細な美意識など、
改めて見なおす時が来ているのでしょう。
私達CACでは緑溢れる自然とその中で育まれた豊かな心を継承する日本に感謝しています。
次の世代を生きる人たちが日本人として誇りを持って明るく生きられるように、
社会、歴史、精神の再認識、
様々な分野への「投資活動」「レクリエーション」などを通じて
楽しみながら情報を交換しております。
もし何か行動したい…とか、何から始めてよいかわからない…など、
気になることはひとりで悩まずとりあえずCACへお知らせください。
よい提案が出来るかもしれません。
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