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  1. 金融

Regulation D 通称レグディとは??

米国企業がセキュリティートークン・オファリングで、資金調達の時に守られている法律は?

こんにちは、木村です。

前回の記事では、

イニシャル・コインオファリング(ICO)に代わって盛り上がり始めている、

セキュリティー・トークン・オファリング(STO)という、

証券の特徴を持ったトークンについて簡単に説明しました。

 

セキュリティートークンとは証券型のトークンで、

資産的価値を持っている物、

例えば株式、債券、不動産などをトークン化し、

市場に流通させることが目的です。

 

証券を販売して企業が資金を調達するときは当然、

法律に順守した形で資金を調達する必要があります。

 

なので今回のコラムでは、

セキュリティートークンを使った、

米国での資金調達の手段について説明していこうと思います。

 

#今回のコラムを書くのにあたって調査はしっかりとしていますが、

私は弁護士資格を持っていませんので本格的なアドバイスや助言は弁護士の先生にお問い合わせください。

 

資金調達の手段は、他人からお金を借りるか出資してもらう

 

ちょっと基本的なところから説明しますが、

どんな企業も新しい事業を作る時とか、

会社を創業するときには当然資金が必要になります。

 

この時、資金調達の方法は大きく分けて二つあって、

1つは銀行などからお金を借りる間接金融と、

投資家などから出資してもらう直接金融です。

 

たとえ話なんですが、

もし私が10年以上ラーメン修行をして、

日本一うまいラーメンを作れるって自信があって、

この上手いラーメンを日本中の人、

さらに海外から日本に旅行に来ている人に食べてもらいたい。

 

そのために店を作ろうって思うわけですが、

店舗を建てるとか必要な道具をそろえるのにお金がないって話になります。

 

そうなってくると、

まず最初に考えるのは銀行に行ってお金を借りることです。

 

ラーメン屋を作る場合は恐らく、

最低数千万円の資金を毎年利息を数パーセント支払う約束をして借りることができます。

 

銀行がラーメン屋さんに融資したお金は、

銀行にお金を預けている預金者のお金です。

 

このラーメン屋さんの場合は、

銀行にお金を預けている預金者と、

銀行から融資してもらいたいラーメン屋の間に第三者の銀行がいます。

 

この様にお金を借りたい人と貸す人の間に、

第三者が入ることを間接金融と言います。

 

一方で第三者を通すことなく企業が直接株や債券を発行して、

資金を調達することを直接金融と言います。

もし私が偶然超大金持ちの人に出会って、

この大金持ちから直接出資してもらいたいって話になったら、

会社の株を売ってお金持ちの人から出資してもらいます。

 

今回のコラムは米国で直接金融を使って、

資金調達をする方法について話していこうと思います。

Regulation Dとは?

 

当然ですが、

株を売って投資家から資金を調達をする時は各国の証券法などを守る必要があります。

 

米国の場合は1933年証券法(Securities Act of 1933)に基づいて、

米国証券取引委員会U.S. Securities and Exchange Commission (SEC)に、

企業が発行した証券を登録する必要がありますが、

登録プロセスに長い時間と多額のリーガルコストなどお金がかかります。

 

スタートアップ企業や早くビジネスをつかみに行きたい企業にとって、

多額の資金と時間は大きな問題で、

企業としては登録することに非常に躊躇します。

 

それよりも企業はRegulation D (レグディー)という方法を使って資金調達を行います。

 

Regulation Dは、

企業が資金調達をする時に特定の条件を満たせば発行した証券を、

SECに登録せずに資金調達することが出来る方法です。

 

クラウドファンディング・プラットフォームを運営する、

プロジェクトの一つであるStartEngineは、

最近1000万ドルを調達するために、

Regulation Dを使ったSTOをしています。

 

StartEngine Launches $10 Million Regulation D Security Token Offering

https://thetokenist.io/startengine-launches-10-million-regulation-d-security-token-offering/

 

 

ちなみに証券を販売したい企業は全ての投資家に販売できるわけではなく、

Regulation Dを利用する場合は適格投資家という特定の条件を満たした投資家へ主に販売します。

 

適格投資家とは非常に厳しい基準を満たした投資家で、

米国では個人の適格投資家は総人口の8.25%(Financial Samurai調べ)しかいません。

 

米国の個人の適格投資家基準は、

直近2年間(+翌年の見込み収入)の年収20万ドル以上(または世帯収入で年収30万以上)、総資産100万ドル(主要な住居を除く)が必要です。

 

Financial Samuraiの記事は下記からご覧になれます。

https://www.financialsamurai.com/how-many-accredited-investors-are-there-in-america/

 

 

なぜ、このような適格投資家をSECは作るのかというと、

SECの目的の1つは投資家保護だからです。

 

基本的にRegulation Dを利用する私募の投資案件は、

ベンチャー等に投資するのでリスク性が高いため、

SECはこのような投資家の基準を作り投資家を保護しています。

 

米国で資金調達をする時に利用するRegulation Dのルール

 

今回は簡単に企業がRegulation Dを利用するときに使う4つのルール、504、506(c)、506(b)についてまとめてみました。

 

ルール ルール504 ルール506 (c) ルール506 (b)
一般勧誘について 一定の条件下では可能だが、基本的に一般勧誘は禁止 一般勧誘が可能

(ネットでの募集などが行える)

一般勧誘は禁止
販売対象について

 

適格、非適格投資家問わず購入可能 適格投資家対してだけ販売可能 適格投資家に人数制限は無し、非適格投資家は35人まで
期間及び募集額

 

12カ月間、500万ドルまで募集可能 募集額の制限なし 募集額の制限なし
各州の証券法の免除 なし あり あり

 

米国は連邦法と州法があり、

ルール506 (c) と506 (b)はブルースカイ法という各州の証券法が免除されますが、

ルール504は免除されません。

 

この他にも色々な細かい基準であったりとか、

規制があるのですがこのコラムではそのあたりは割愛させていただきます。

 

このような規制に乗っ取り資金調達をしているSTOは、たしかに今後の規制リスクを下げることは出来ると思います。

 

STOをする企業はトークンを発行していますが、

証券性を持っているトークンを発行しているので、

規制リスクを下げる為にもRegulation Dに沿って資金を調達します。

 

しかし、未来の規制の変化がどうなるかは正直まだ分からないのが現状です。

 

今は、証券法に合わせて証券市場の基礎を作るテクノロジーが、

ブロックチェーンをベースにしようと変化しています。

 

次回のコラムではRegulation S、Regulation CF、Regulation A+について書いてみようと思います。

 

では次回のコラムも楽しみにしていください。

コラムニスト:木村紀文

監修:飯塚良太・CACアドバイザー

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