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  1. Pomp newsletter

ビットコインは国家元首を必要としないが、国家元首はビットコインを必要とする Bitcoin doesn’t need Presidents, but Presidents need Bitcoin

政界は過去数週間、インフラ法案に関する議論を行うなど、インフラ法案にかかりきりだった。現職の政治階級にとって一番驚きだったことは、ビットコインや暗号通貨業界がこれほどまでに素早くかつ効果的に協力体制を築くことが出来たことだ。

 電話にしろ、ツイートにしろ、伝統的なロビー活動にしろ、業界のアクティビティはたった数日間で0から100になったように感じられた。これは業界が、意見を発信することを恐れない、非常に高いオンラインエンゲージメントを持つコミュニティを抱えているからこそ可能になったことだ。さらに、10年と少しで時価総額が0ドルから約2兆ドルになった業界では非常に大きな富が生成されてきた。

 富とエンゲージメントは行動のレシピだ。しかし驚くべきことは現職の政治階級の反応のように思う。政治家や一般的にその周りで活動している者のうち、今回のことが例外であるという風に思っている人が相当数いるようだ。その者たちはこの出来事に混乱しているが、この法案が採決されれば暗号通貨業界は他のことに向かうと思っているようだ。

 あなたの予想通り、私はこの結論は不正確だと考えている。初めに、ビットコインや暗号通貨業界がこれからもイノベーション、経済的生産、雇用、そして技術的進歩を起こしていくことは明らかだ。これは合衆国が参加するかしないかに関わらず起こることだ。

 次に、ビットコインが175,000ドルから200,000ドルになる時には、Forbes 400の半分ほどがこの業界で埋まると予想されている。それは単一の業界に集中するものとしては驚異的な額の世界の富である。これらの人々は以前のディスラプティブな業界の人々と同じように、いずれ政界で影響力を発揮するようになる。彼らはそれを避けることが出来ない。ワシントンDCの政策や決定が彼らのビジネス、富、自由に影響するようになるからだ。

 最後に、現在のシステムに対して軽蔑を持って育ってきた世代がいる。彼らは9.11という凄惨な出来事が中東における2つの長い戦争の大義名分に利用され、また同時に米国の監視力が拡大された。そのすぐ後、その世代の親や愛する者が世界的な経済危機によって大きな傷を負った。政府は企業や規模の大きい金融機関を救済したが、一般的な市民を置き去りにした。

 このミレニアム世代の主流派のメディアや政府に対する信用は記録的な低さだ。しかし、この若者たちは(これまでの世代がしてきたように)このような問題にただ不平を述べるのではなく、より良いシステムを作り上げた。メディアの勢力はソーシャルメディア、ポッドキャスト、Substackのようなテクノロジー系企業の登場により大幅に弱まった。従来の金融機関はビットコイン、ステーブルコイン、分散型金融アプリケーションの登場により強大な勢力を失いかけている。

 これが世代の違いである。これが政治階級とテクノロジー業界の違いである。一方は組み立てることを大事にしている。行動を大事にしている。もう一方は喧伝することや不平を述べることを大事にしている。キャリアの全てを金融システムについての不平を述べることに費やしてきた政治家がいる一方、技術屋は10年も経たないうちにより良い金融システムを作り上げてしまったのである。

 この枠組みを理解することは重要だ。なぜなら、究極的には私たちの生活のほぼすべての面でそれが作用しているからである。Doer(やる人)はTalker(話す人)よりも素早いペースで進歩している。この時、Talkerはこれに太刀打ちする手段を持たない。彼らは新しく登場したDoerが追及する物事に不平を述べようとするだけだ。

 さて、ここで政界の話に戻ろう。ワシントンDCの人たちはこの新しく登場したDoerににわかに気付き始めている。一例としては、FTX創業者、サム・バンクマンフライド(Sam Bankman-Fried)が昨年のジョー・バイデンの大統領選挙運動におけるトップドナー二人のうちの一人だったことが挙げられる。また別の例では、米政治家が3,4パラグラフの間に使用された特定の言葉について争い、この比較的無名でアウトサイダーな業界が500億ドル以上のインフラストラクチャ法案の進展を実質的に全て阻止したということもある。

 このような活動や結果があるために私は以下のツイートを昨日投稿した。

ツイート)いつかビットコイナーが米大統領になる

 比較的すぐ、ツイッター、SquareのCEOジャック・ドーシー(Jack Dorsey)にいつか彼が大統領選挙に出馬するかも知れないという嫌味をツイートした。ほとんどの人はその可能性は低いと考えていただろうが、ジャックの反応は完璧だった。

ツイート)んなこたぁない。ビットコインに大統領は必要ない。

 私は考えさせられた。ジャックがただ正しいだけでなく、この一連の会話における当初の捉え方が完全に的を外れていたからだ。ビットコインは何をも必要としない。それはただそれであるだけだ。しかしもしかすると世界がビットコインを必要としているのかもしれない。私はジャックに対する返答でこの捉え方をより明確にしようと試みた。

ツイート)全く正しい。

ビットコインに大統領は必要ないが、大統領にはビットコインが必要だ。

 もう一度読んでほしい。ビットコインに大統領は必要ない。しかし大統領にはビットコインが必要だ。

 この捉え方についてより深く考え、一晩考える機会を得て、私はそれが重要な考え方を表しているという風に感じている。従来のシステムは間違った方向に向かっている。それはもう数十年間生き残るかも知れないが、永遠には続かない。ある時点で、現職の政治家たちはビットコインが彼らを必要とする以上にビットコインを必要とするようになる。私を含め多くの人が今がすでにその時だと主張する。しかし現状について違う意見を持つからといって、私たちが将来的にその方向に向かわないという議論を展開するのは難しい。

 とはいえ、ビットコイナーが大統領になるという私の考えは必ずしもツイッターにいる目からビームアイコンのハンドルネームユーザーが国内最高の要職に就くことになるということではない。それよりはむしろ、大統領や今後出馬し勝利する政治家がビットコイナーになる可能性のほうが高い。現在の政権がビットコインの旗を振るとは思っていない。

 しかし、マイアミ市長、フランシス・スアレス(Francis Suarez)が素晴らしい例になる可能性はあると思う。彼は民主制のややこしく複雑な状況で舵を取る方法を知っている政治家である。彼はテクノロジーと自由の重要性、またそれらが互いを補強する関係にあることについて、重要で独特な観点を持っている。そしてスアレスは公然とビットコインについて話したり、マイアミをビットコインシティに組み込んだり、テクノロジーを受け入れマイアミ市民にとってより良い世界を作る方法を模索することなどを通して、行動を大切にする傾向を見せてきた。

 フランシス・スアレスは大統領選に出馬するかもしれないし、しないかもしれない。彼はただの一例だ。他にも、ルミス(Lummis)上院議員やデービッドソン(Davidson)下院議員のような官職にあるビットコイン推進派もいる。もしかすると彼らが出馬するかもしれない。そうではないかもしれない。しかしいつか、誰かが、合衆国の大統領選に出馬し、ビットコインを受け入れる。業界はあまりにも急速に成長しているし、その採用によってそれが必然であるように感じられるほど、人口への広い普及を促すことが分かってきている。

 このシナリオに関して大変なことは、合衆国大統領がビットコイナーになるということではない。その場合、その立場にある男性もしくは女性がビットコインムーブメントの救世主もしくはリーダーになるということになる。実際には、米国がこのテクノロジーを受け入れなければならないという状況に合衆国大統領が居合わせることになるという可能性の方が高い。ビットコインが大統領を必要とするよりも大統領がビットコインを必要とするということだ。

 さて白目を剥いて私の頭がおかしいと考える前に、既に前例が存在しているのである。エルサルバドルの大統領はビットコイナーだ。彼はツイッターで目からビームアイコンを使用し、ビットコインを国内の法定通貨として認める法案を提出し、国民がビットコインマイニングとその他の活動を行えるよう取り組みを進めている。合衆国内にも国外にも、ビットコイナーと自認している(目からビームとか全部!)政治家は他にもたくさんいる。そして当然、ビットコインに多額の投資をしている合衆国上院議員や下院議員もいる。

 投資家として、私はマクロなトレンドと世界の行先を考えるようにしている。過去一週間はビットコインの受容と認知という意味で変曲点だったように感じられる。ビットコイナーが何年もの間各ソーシャルメディアで述べてきたことを公然と支持し、説明する上院議員がいた。

ツイート)政治家がビットコインについて話せば話すほど、市民は新しい選択肢に気付くことができる。

 私たちはまだまだたくさんの仕事をしなければならないが、これは重要な節目のように感じられる。ワシントンDCはこのテクノロジーがどれほど重要なのか、このコミュニティがどれほど積極的かということにようやく気付き、現在の政治家たちの多くが歴史は技術的進歩に反抗する者に対して優しくないという事実と折り合いをつけ始めている。

 皆さんご存知の通り、私は政治が大嫌いだ。私はここ二週間で、私がこのレターを始めた2018年以降を合わせた期間よりも多く政治について書いてきた。私はこの騒動を乗り越えて、ビットコインの進展や、経済的、社会的な影響、世界的に何十億人もの人々がより良い生活を送れるようにするという約束など、私が楽しめる内容に戻れることを心待ちにしている。

 さて、今回私が話したいことは次で最後になる。政治家が書類上の言葉について議論を交わしているさなかに、ビットコインの価格がここ数日間で急速に騰貴しているという事実を見逃してはならない。本当のビットコイナーは言葉には何も意味がないことを知っている。誰も支配しない分散型のシステムがある。合衆国は友軍にも敵軍にもなれるが、最終的には関係のないことだ。ビットコインのネットワークはこれからも取引のブロックを次から次へと作り続ける。それがあるべき様だ。

 良い一週間のスタートを切れたら幸いだ。また明日。

-POMP-

OffTheChain ジャパン

翻訳者ペンネーム:Decryptor

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